現在日本では、タバコを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
喫煙できる場所は限られ、禁煙の方法もいろいろ出てきました。喫煙について考えるチャンスは増えてきていると言えるでしょう。
しかし、まだ日本はタバコ天国の状態から脱却できているとは言えません。貨幣価値から考えると世界で最もタバコの値段は安く、自動販売機やコンビニ、スーパーでいつでも入手できる環境があります。社会全体の喫煙についての意識がまだグローバルスタンダードとかけ離れているのです。 そんな環境の中、私たち医師はタバコのよる健康被害と闘っています。呼吸器、循環器、消化器、耳鼻科、歯科、小児科、産科・・あらゆる分野でタバコにより疾患が発症したり、治りにくくなっています。
私は元外科医で大学病院では消化器のがんの手術を専門としていました。胃がん、大腸がん、直腸がん、肝臓がん、食道がん、乳がんなどが守備範囲になります。頻度の高いがんは胃がん、大腸がん、乳がんです。これらのがんは手術によって治癒できる確率が7割から8割を超えるようになってきました。これはがん検診が普及し同時にがんについての関心が高まって検診受診率が上がってきたことが原因と考えられます。乳がんについては、ピンクリボン運動が普及し、ご自分でしこりを見つけられがんが早期のうちに受診される方が増えてきました。
一方で現在がん死亡数のトップを独走している肺がんの治癒率は3割を切っています。近い将来、男性同様に女性においてもがん死亡のトップが肺がんになることは間違いないでしょう。女性の肺がん発症と死亡数は増え続けています。

禁煙が難しいのはニコチン中毒の禁断症状が強烈に強いからです。
ニコチンの脳への作用はとても巧妙です。禁断症状が禁断症状と気づかれないことが問題を複雑にしています。
喫煙し始めるとすべての人間はニコチン中毒に陥ります。禁断症状は自分の意志で禁煙することをわずか3%にするほど辛いものです。
喫煙は直後から20分間幸福感、高揚感、充足感を与えてくれます。しかし、そのあとにニコチンの血中濃度は減少し、焦燥感、イライラ、不安感、眠気、倦怠感、仕事での効率低下やミスの増加が襲ってきます。そしてそれらの禁断症状は喫煙で一瞬にして解消されるのです。
ある意味この繰り返しはスリルがあるかもしれません。緊張と弛緩、高揚とうつ、爽快感と倦怠感・・・これが一日10回、20回と繰りかえされるわけですから。
しかし、反対からいうと喫煙しないと正常に過ごしたり仕事をすることができないわけで、実は不自由極まりないのです。さらに喫煙はじわじわと確実に健康に悪影響を与えます。
これまで5000人以上の方に禁煙治療、禁煙指導また診療の合間に禁煙のおすすめをしてきました。
それを踏まえていわせていただければ、タバコの禁断症状のメカニズムを理解し、喫煙の健康被害を十分に把握し、可能ならきちんとした禁煙指導(禁煙補助をする薬剤を含む)を受けていただければだれでも禁煙はできると断言いたします。ご自分だけでは禁煙成功率は3%。敵は手ごわいのです。
このサイトでは私の禁煙外来での経験を踏まえ、わかりやすく解説し喫煙について考えるきっかけをご提供したいと思っています。
